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「何て言ったの?」と聞き返される。自分では普通に話しているつもりなのに、相手に届いていない。滑舌の悩みは、本人が一番気づきにくいのに、相手にはすぐ伝わってしまうのが厄介なところです。
滑舌の記事はたくさんありますが、多くは「早口言葉をやりましょう」で終わっています。ただ早口言葉は、どこが動いていないかが分かってから使う道具であって、やみくもに繰り返しても遠回りになります。
この記事では、まず自分のどこが原因かを特定し、そのうえで苦手な行に合わせた練習を選べるように組み立てました。
- 録音でできるセルフチェック(30秒)
- 滑舌が悪くなる4つの原因と、それぞれの直し方
- サ行・ラ行・タ行・カ行・ナ行——行ごとの練習方法
- 1日どれくらい、どのくらいの期間続ければいいか
- 練習しても改善しないときに疑うこと

先に言っておくと、滑舌はもともと持っている機能の使い方の問題であることが多く、短期間で変化が出やすい領域です。ただし原因に合っていない練習をすると、まったく変わりません。
まず30秒のセルフチェック
スマホの録音アプリを開いて、次の3つの文を普段の速さで読んでください。録音して聞き返すのがポイントです。自分の耳で聞こえている声と、他人に届いている声は違います。
- 「東京特許許可局の許可を取り消す」(カ行・キャ行)
- 「生麦生米生卵」(ナ行・マ行・ラ行)
- 「新春シャンソンショー」(サ行・シャ行)
聞き返して、次のどれに当てはまるかを見ます。
| 聞こえ方 | 考えられる原因 | 対応するセクション |
|---|---|---|
| 音がこもる、口の中で終わっている | 口が開いていない(顎の動きが小さい) | 原因①へ |
| 特定の行だけつぶれる(サ行・ラ行など) | 舌の位置と動き | 原因②・行別トレーニングへ |
| 語尾が消える、後半が聞こえない | 息が足りない(呼吸と声量) | 原因③へ |
| 全部が団子になる、詰まって聞こえる | 速すぎる(話すスピード) | 原因④へ |
複数当てはまる場合は、上から順に取り組んでください。口が開いていない状態で舌の練習をしても効果が出にくいためです。
原因①|口が開いていない
日本語は口をあまり開けなくても発音できてしまう言語です。そのため口の開きが小さいまま固定されている人が多いのですが、これが最も多い原因です。
あ・い・う・え・お を極端に作る練習
- あ——指が縦に2本入るくらい開ける
- い——口角を左右いっぱいに引く。奥歯が見えるくらい
- う——唇を前に強く突き出す。とがらせる
- え——「あ」と「い」の中間。頬を持ち上げる
- お——「う」より少し開けて、縦に丸める
声は出さなくて構いません。形だけを1つ3秒ずつ、5周。普段使っていない筋肉なので、最初は頬や顎が疲れます。それが効いている合図です。
- 力を入れすぎて顎を痛める——顎関節に違和感が出たら中止してください
- 鏡を見ずにやる——動いているつもりで動いていないのが一番多い失敗です
原因②|舌が動いていない
特定の行だけ苦手な場合は、ほぼ舌の問題です。音によって舌のどこを使うかが違うので、そこを意識できると変わります。
舌の基礎トレーニング
- 舌回し——口を閉じたまま、歯茎の外側を舌でなぞる。右回り10周・左回り10周
- 舌の上下——口を開けて、舌先を上の前歯の裏/下の前歯の裏に交互につける。20往復
- 舌の突き出し——舌をまっすぐ前に出して5秒キープ。左右にも各5秒
1日1セットで十分です。舌は筋肉なので、動かす習慣がつくと数週間で変わります。
行別|苦手な音だけを直す
ここがこの記事の中心です。滑舌の悩みは「全部」ではなく「特定の行」であることがほとんどなので、自分の苦手な行だけ取り組んでください。
| 行 | 舌のどこを使うか | 起きやすい失敗 | 練習のコツ |
|---|---|---|---|
| サ行 | 舌先を上の前歯の裏に近づけ、狭い隙間から息を通す | 隙間が広すぎて「シャ」に寄る/舌が歯に当たって濁る | 「スー」と息だけを細く長く出す練習から。音は最後 |
| ラ行 | 舌先で上の歯茎をはじく | はじかずに舌が触れたままで「ダ行」に寄る | 「ラララ」ではなく「ル・ル・ル」と区切って弾く感覚をつかむ |
| タ行・ダ行 | 舌先を上の歯茎につけて、息を止めてから破裂させる | 舌の当たる位置が奥すぎる/息が弱く破裂しない | 「ッタ」と小さい「ッ」を前につけて破裂を強調する |
| カ行・ガ行 | 舌の奥を上あごの奥につけて離す | 舌の奥が上がらず、こもる | あくびをするときの喉の開きを保ったまま「カ」を出す |
| ナ行・マ行 | 鼻に息を抜く | 鼻づまり・口呼吸で音が抜けない | 「んー」と鼻に響かせてから「ナ」「マ」に移る |



自分がどの行で失敗しているかは、録音を聞き返さないと分かりません。チェック → 該当する行だけ練習、の順番が近道です。
行ごとの練習文と早口言葉は、滑舌トレーニング用の文章・早口言葉まとめに素材として並べています。この記事で原因を特定したあとに使ってください。
原因③|息が足りない
語尾が消える、文の後半が聞き取れない場合は、滑舌そのものより息が続いていない可能性があります。
日本語は文の最後に結論が来るので、語尾が消えると意味が伝わりません。ここは影響が大きい部分です。
- 息を吸ってから「スー」と一定の強さで15秒吐き続けられるか試す
- 15秒もたない場合は、まず呼吸から。腹式呼吸のやり方を参照してください
- 文を読むとき、句読点で必ず息を吸うと決めておく
原因④|速すぎる
全部が団子になって聞こえる場合、口も舌も動いてはいるのに速度が能力を超えている状態です。この場合、トレーニングより先に速度を落とすほうが即効性があります。
- 1分間に300文字を目安にする(アナウンサーの標準的な速度)
- 文の切れ目で必ず0.5秒止まると決める
- 緊張すると速くなるので、早口を直す方法もあわせて
1日どれくらい、どのくらい続ける?
検索でもよく見かける疑問なので、目安を整理します。
| 期間 | 目安 | このころ起きること |
|---|---|---|
| 1日あたり | 5〜10分 | 長くやるより毎日やるほうが効きます |
| 1〜2週間 | 口や舌が疲れなくなる | まだ聞き手には変化が伝わらない段階 |
| 3〜4週間 | 録音を聞いて自分で違いが分かる | 苦手な行が「たまに言える」状態に |
| 2〜3か月 | 意識しなくても出せる音が増える | 聞き返される回数が減ってくる |
大事なのは毎回同じ文を録音して比べることです。感覚だけで判断すると、変化しているのか分からず続きません。最初に録った音声は消さずに残しておいてください。
練習しても改善しないときに疑うこと
2〜3か月続けても変化がない場合、トレーニングでは対応できない要因があるかもしれません。
| 考えられること | 相談先 |
|---|---|
| 特定の音(サ行・ラ行など)が年齢相応に出せない | 言語聴覚士(ST)のいる医療機関 |
| 舌小帯が短い/歯並び・噛み合わせの影響 | 歯科・口腔外科 |
| 言葉の最初が詰まる、音を繰り返す | 吃音外来・言語聴覚士 |
| 急に滑舌が悪くなった(数日〜数週間で変化) | 早めに医療機関へ。神経系の症状の可能性があります |
| 加齢による口まわりの筋力低下 | 歯科(口腔機能の相談) |



特に「急に悪くなった」場合は自己判断しないでください。ゆっくり進んできたものと、急に起きたものはまったく別の話です。
自分でやる限界を感じたら
滑舌の練習で一番難しいのは、自分の音を正しく評価することです。録音しても「なんとなく違う」までは分かっても、「舌先の位置が2mm奥」のような判断はできません。
第三者に聞いてもらうと、この部分が一気に進みます。ボイトレ系のマンツーマンは発声と滑舌が専門領域なので、数回受けるだけでも自分の癖が分かります。
| スクール | 受講形態 | 1コマ | 入会金 | 月謝(月2回) | 体験 |
|---|---|---|---|---|---|
| アバロンミュージックスクール | マンツーマン (通学/オンライン) | 30分 | 2,200円 | 8,470円〜 | ◎ 無料 |
| シアーミュージック | マンツーマン (通学/オンライン) | 45分 | 2,200円 | 11,000円〜 | ◎ 無料 |
| ナユタス | マンツーマン (通学/オンライン) | 50分 | 校舎により異なる | 14,300円〜 | ◎ 無料 |
体験は無料です。滑舌だけを見てほしいなら、「サ行が苦手で聞き返される」のように症状を具体的に伝えると初回から的確に見てもらえます。各校の詳細はシアーの評判・アバロンの評判にまとめました。
よくある質問
- 滑舌トレーニングは毎日続けるべきですか?
- 毎日5〜10分のほうが、週1回30分より効果的です。口や舌は筋肉なので、間隔が空くと元に戻ります。ただし顎や舌に痛みがあるときは休んでください。
- サ行が苦手です。何から始めればいいですか?
- まず「スー」と息だけを細く長く出す練習から始めてください。サ行は舌先と上の前歯の裏の隙間から息を通す音なので、息のコントロールができないと音になりません。声を出すのはその後です。
- ラ行がうまく言えません。
- ラ行は舌先で上の歯茎をはじく音です。舌が触れたままだとダ行に寄ります。「ラララ」と続けず、「ル・ル・ル」と区切って弾く感覚をつかんでください。
- 外郎売はやったほうがいいですか?
- 外郎売はあらゆる行が網羅されているので総仕上げには向いています。ただし長いので、原因が特定できていない段階でいきなり取り組むと挫折しやすいです。まず苦手な行を絞ってからをおすすめします。素材は滑舌トレーニング用の文章・早口言葉まとめに置いています。
- 大人になってからでも滑舌は良くなりますか?
- なります。滑舌は口や舌の動かし方の問題であることが多く、年齢に関係なく変化します。ただし歯並びや舌小帯など構造的な要因がある場合は、トレーニングだけでは限界があるため専門機関への相談が必要です。
まとめ|早口言葉の前に、原因を特定する
滑舌の練習でつまずく理由のほとんどは、原因が分からないまま早口言葉を繰り返してしまうことです。
まず録音して、口が開いていないのか、舌が動いていないのか、息が足りないのか、速すぎるのかを切り分ける。そのうえで苦手な行だけを練習する。この順番なら1か月で変化が見えます。
そして2〜3か月やっても変わらないなら、トレーニングでは対応できない要因を疑って、専門機関に相談してください。
話し方自信向上ナビ 運営者・なぎさ
20代後半で急にあがり症を発症。社内発表で声が震え、冷汗が止まらない経験をきっかけに話し方の情報収集を開始しました。現在はオンライン会議で場数を積みながら「治す」ではなく「付き合っていく」アプローチで改善中です。このサイトには、各社の公開情報を自分で突き合わせた比較と、全国の教室を1件ずつ調べた記録をこのサイトに残しています。詳しい経緯は運営者の実体験記事に書きました。
「滑舌・発音」に関する記事
同じ悩みを別の角度から扱った記事です。あわせて読むと原因の切り分けがしやすくなります。









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